数学書紀

応用数学と、読書記録。

コーシー・リーマンの関係式

教科書・参考書

複素関数論を思い立って勉強し(ようとし)た。まず参考にしたのは、最近(というほどでもないか…)出版された涌井貞美『道具としての複素関数』(日本実業出版社) 。

道具としての複素関数

道具としての複素関数

 

 実は発売日から丸善に並んでいて気になってはいたものの、買うまではいかず。。春休みで急に暇になったので、思い切って購入。しかしまだ出版間もないため、結構間違いがある。

 (x^n)'=(n-1)x^{n-1} なんて平気で書いてあったりする…。最低限の知識は持っているにこしたことはありません。

もう一冊、神保道夫『複素関数入門』。

複素関数入門 (現代数学への入門)

複素関数入門 (現代数学への入門)

 

 複素関数論の授業をとったときに参考書としてあげられていたので購入。のあとほとんど読まなくなってしまった。上の本で一通り複素関数の雰囲気を味わったら、こちらを読んでいきたい。

複素関数の基礎

以降、領域は単連結で、閉曲線は単純閉曲線とする。厳密な議論はひとまず後回し。

 w,z複素数とすると、複素関数 w=f(z)と表せる。しかし実関数と異なるのは、 w z複素数であるため z=x+yi, w=u+viと書け( x,y,u,vは実数)、事実上4変数であることである。だから微分積分を何でもかんでも実関数と同じようにやればいいというわけではない。

さて、複素関数のかなり重要な性質「正則」について定義しておく。

関数 f(z)複素数平面のある領域の各点で微分可能なとき、その関数 f(z)はその領域で正則(regular)という。

この正則という条件、かなり強い。正則であることと同値な条件はまた記事にできればと思う。

コーシー・リーマンの関係式

 z=x+yi, f(z)=u+viとすると、 f(z)が正則関数であることの必要十分条件

 \displaystyle \frac{\partial u}{\partial x} = \frac{\partial v}{\partial y} , \frac{\partial u}{\partial y} = -\frac{\partial v}{\partial x}

である。

この式をコーシー・リーマンの関係式という。ここからラプラス微分方程式を導くことができる。