【読書録】宇宙創成(上)
サイモン・シン『宇宙創成(上)』を読み終えた。
- 作者: サイモンシン,Simon Singh,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: 文庫
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プトレマイオスの天動説から、コペルニクス、ガリレオらによる地動説への大転換。
科学は理論と実験(観測)が表裏一体となって進展していくものだと、そのドラマに感動。何事もなさそうな小さな発見が、これまでの天文学を覆す大理論の支えになる。一気に読み進めてしまって、こんな知的好奇心をそそられる本はめったにない。
特に好きなものを2つ。
単純なものこそ真理
天動説を支持しようとすると、周転円を加えたり、惑星は複雑な運動をしているという仮定が必要になる。しかし地動説であれば、「惑星は太陽の周りをまわっている」の一言で惑星の逆行現象などが全て説明できてしまう。(なお、観測による結果と精密に合わせるには、楕円運動をしていることに気付かなければならないのだが…それはケプラーまで待たれる)
巨人の肩の上に立った巨人
井戸を掘って地球から太陽までの距離が分かった。
太陽の直径が分かった。
地球から月までの距離が分かった。
視差を利用して、恒星までの距離が分かった。
セファイド変光星の規則性を調べることで、恒星の明るさと距離の関係が分かった。
それにより、多くの星雲だと思われていたものが銀河だと分かった。
ドップラー効果を利用することで、銀河は銀河系から遠ざかっていることが示された。
この一連の大発見の上に、ハッブルは最後の「ハッブルの法則」と呼ばれる理論を発表した。この理論立てて問題を解決していくさまは、まさに科学そのものと言ってよいと思う。宇宙という壮大なスケールを相手に、これからの発展が楽しみである。鉄は熱いうちに…ではないが、さっそく下巻を読もう。